2020年6月2日 朝日新聞 文芸欄記事より
「一人でも合唱は続けられる」 「考え抜く時間」
一人でも合唱は続けられる。そうメッセージを送るのは東京混声合唱団音楽監督の山田和樹さんだ。日本フィルハーモニー交響楽団の正指揮者でもある。オーケストラと合唱、両方
の文化に等しく情熱を傾ける数少ない指揮者のひとりだ。
「歌えない時間は、歌いたいという自分自身の純粋な気持ちに向き合う時間になる。コンクールではうまいか下手かが絶対の尺度になるけど、音楽は本来、そういうものではない。今回のことを、『コンクールに出るために、私は歌っているんじゃない』というポジティブ な気付きのきっかけにしてほしい。」
山田さんが勧めるのはハミングだ。口をほとんどとじたまま小さな声で歌うため、飛沫のリスクは極めて小さい。一緒に歌っている人たちの声を想像したり、音程に通常より心を研ぎ澄ませたり、という教育的な効用も期待できる。
「歌うことを忘れず、一人で何かを口ずさみ続けてほしい。離れていても、あの人も僕も、一緒に口ずさんでいる。そんな風に心と心のつながりを実感することは、僕は可能だと思う」
「世界のどこにいても、空は、空気はつながっている。だから、僕たちもつながっている。そういう風に感じられる強い心を自分の中に育て、いつかまた一緒に歌えたなら、前よりも もっと素敵な景色が見える。見えない友達を思いやることが、新たな表現の種になる。その経験は間違いなく、未来へとつながる力を持っている。僕らはいま、歌えないという時間をいただいているんです」
「歌えない時間は、歌いたいという自分自身の純粋な気持ちに向き合う時間になる。コンクールではうまいか下手かが絶対の尺度になるけど、音楽は本来、そういうものではない。今回のことを、『コンクールに出るために、私は歌っているんじゃない』というポジティブ な気付きのきっかけにしてほしい。」
山田さんが勧めるのはハミングだ。口をほとんどとじたまま小さな声で歌うため、飛沫のリスクは極めて小さい。一緒に歌っている人たちの声を想像したり、音程に通常より心を研ぎ澄ませたり、という教育的な効用も期待できる。
「歌うことを忘れず、一人で何かを口ずさみ続けてほしい。離れていても、あの人も僕も、一緒に口ずさんでいる。そんな風に心と心のつながりを実感することは、僕は可能だと思う」
「世界のどこにいても、空は、空気はつながっている。だから、僕たちもつながっている。そういう風に感じられる強い心を自分の中に育て、いつかまた一緒に歌えたなら、前よりも もっと素敵な景色が見える。見えない友達を思いやることが、新たな表現の種になる。その経験は間違いなく、未来へとつながる力を持っている。僕らはいま、歌えないという時間をいただいているんです」
